外壁を鮮やかなフレスコ画が覆う、モルドヴァの5つの修道院【ルーマニア情報】


ルーマニア北部のブコヴィナ地方には、外壁に鮮やかなフレスコ画の施された5つの修道院があります。
1993年には世界遺産に登録され、この美しい修道院を見ようと世界中から旅行客が訪れます。

ルーマニアの母体となったのは「ワラキア公国」と「モルドヴァ公国」ですが、モルドヴァ公国の首都は14~16世紀の間、ブコヴィナ地方の中心スチャヴァにおかれていました。
ボグダン3世(在位1504~1517年)とペトル・ラレシュ公(在位1527~1538年)の治世の下、モルドヴァ公国は黄金期を迎え、モルドヴァの5つの修道院もこの時期に建てられました。

モルドヴァの5つの修道院はルーマニア中世文化が花開いた時代の建造物であり、見どころはやはり外壁の鮮やかなフレスコ画です。
今では一部劣化し修復作業が進められていますが、当初の鮮やかさではどんなに華やかな建物だったか、と想像してしまいます♪
カトリックの聖堂にフレスコ画が施される例はたくさんありますが、外壁に描かれているのは世界でも珍しい例です。
これらの壁画は、聖書を読むことができない農民たちにもわかりやすく布教するために描かれたそうです。

「スチェヴィツァ修道院」は17世紀はじめに完成した修道院で、5つの修道院の中でも最大の規模を誇る聖堂です。
防壁により北風が防がれたことから、外壁のフレスコ画が他の修道院に比べて良い状態で残っています。
外壁いっぱいに描かれた「天国への梯子」は悪魔の誘惑と戦いながら梯子を上る修道士が描かれた大作です。
描かれた異端者の顔がトルコ人の顔立ちになっていて、オスマン帝国の支配に抵抗していた当時の情勢が伝わってきます。


赤い外壁の印象的な「モルドヴィツァ修道院」や青い壁画で覆われた「ヴォロネツ修道院」など、5つの修道院にはそれぞれ個性があります。
どれも宗教画でありながら当時の状況を反映していて、それらの意味を理解するとより一層楽しめることでしょう。

5つの修道院を回るには、便利な公共交通機関はなく、スチャヴァでガイド付きタクシーをチャーターするのがおすすめです。
世界遺産に登録されているのは保存状態の良い5つの修道院ですが、この地方には合わせて8つの修道院があるので、すべて回る旅行者もいるそうですよ♪

【5つの修道院 /5 mănăstiri din Bucovina】
各修道院の開院時間:8:00-20:00(夏期)、8:00-17:00(冬期)
入場料:5RON、撮影(内部は撮影禁止)は10RON

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